闇打つ心臓
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伝説的な自主映画としての『闇打つ心臓』。23年経てつくられた『闇打つ心臓Heart,beating in the dark』。闇打つ心臓とは何なのか?関係者や監督たちに聞いて回る、リレーインタビュー。
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長崎監督×大友良英ミニライブ&トークショー!
番外編第4弾は、長崎監督と、音楽を担当した大友良英さんをお招きしての、トーク&ミニライブ!大友さんの音楽に対する実験的な姿勢と、長崎監督の映画に対するこだわりが重なりあって、興味深い音楽作りのお話を聞くことができました。


f0087322_2158310.jpg司会:今日は、お越し頂きありがとうございます。では、監督と大友さんから一言ずつお願いします。
長崎:今日は本当に有難うございます。大友さんとは、初めて一緒にお仕事をさせてもらったんですけれども、映画に音楽をつけるということにとらわれない、刺激的でとても楽しい作業ができたんですね。出来上がった音楽をこれから聴いてもらいますが、とても素晴らしいものになっています。皆さん楽しんで行って下さい。
大友:今日はお越しいただき有難うございます。上映の前に、映画に入っている音楽をモチーフにした即興演奏を行います。今回、長崎監督との初めての仕事で、どういうことを考えているのかな、と手探りの状態で作業をしました。僕個人としてはすごく画期的な仕事ができたと思っています。

司会:監督は、『闇打つ心臓』の音楽を大友さんにどういうふうにお願いしたんですか?
長崎:えーっとですね。記憶がないんですよね(笑)。
大友:僕もあんまり覚えていないですよ(笑)。
長崎:少し話がずれてしまうかもしれないけど、オリジナルの8ミリ版の映像も、今回の本編の中に出てくるんですよ。オリジナル版を現在のものに入れるという編集で、非常に悩んでいた時期があったんです。その時期のものを大友さんに渡していて、どうかな、むずかしいだろうなという気持ちで大友さんにお会いしたら、大友さんはすごく興奮してくれて、オリジナルの映像と新しく作った映像とがカットバックしていくのをとても気に入って、面白がってくれたんです。オリジナル版の映像はもっと音を汚したほうがいいとか、色んなアドバイスをくれたんですね。その大友さんの意見が今回の出来上がりにはかなり影響を与えています。
大友:今思い出した!オフィス・シロウズで話した時ですよね。最初は、完成されていない段階のものをもらっていて、正直どうなるのかな、なんて思いながら見たんです。映画って、大体同じ時期に撮った映像を過去や現在、未来と見えるように編集していくじゃないですか。なのに、今回はテクスチャーが82年の8ミリフィルムと、現在のデジタルビデオとでバラバラで、それがすごく面白くて。確かその時に、昔の音をきれいにしたいっていう話も出て、それはやめたほうがいいって言ったんですよ。汚いままのほうがいいって。
長崎:いや、大友さんは「もっと汚したほうがいい」って言ってましたよ。
大友:ひどいねえ(笑)デジタルのほうは、デジタルのままのほうがいいって言ったんですよね。音楽では、アナログとデジタルを両方おいて、その差を見せるっていうのは案外普通にやっていることなんです。でも、映画じゃほとんどやっていなくてこれは面白いぞ、と。興奮したのはそこですね。

司会:ありがとうございます。それでは、いよいよ大友さんの即興演奏にうつりましょうか!

f0087322_2159367.jpg−おもむろにギターを抱え、大友さんの即興が始まりました。
皆さんにこの演奏をお届けすることはできませんが、ぜひ、『闇打つ心臓Heart beating in the dark』を見て、心臓に響く重いドラムとギターの音を感じてみてください!

司会:監督は、できあがった『闇打つ心臓』の音楽を聴いてどんな感想をもたれましたか?
長崎:僕は、僕の映画に音楽をつけるというのはすごく難しいと思っているんです。映画の中の音楽というと、普通“メロディ”で映画を思い出したりするじゃないですか。でも、大友さんとの作業では、少し違うあり方が見えてきたんですよね。音の塊というか、音が映画自体を動かしていたんですよ。あ、こういうことがあるんだったらいいなってすごく思えたんです。もうひとつ記憶に残っているのは、映画の中で、主人公たちが自分の過去を一人で喋るところがあって、大友さんにそこに音楽をつけてほしいとお願いしたんです。そこにはかなりスローなテンポのドラムと大友さんのギターが入ってるんですけど、大友さんは、これは一種のラップみたいなものだから、編集のリズムを考えて、音を足したり消したり自由にしていいよと言ってくれたんです。そうした時に、セリフを含めて、全部の音が音楽みたいに聞こえた瞬間があって、ちょっと得難い体験をしたんですよ。すごく刺激的でした。

司会:大友さんは、どういうふうに思いながら作られたんでしょうか。
大友:今回は、ドラムが通常じゃありえないほどのゆっくりした、bpmでいうと40というテンポで、要するに“隙間”が山のようにあるんです。ラップは、通常、今回の4倍くらいの早さのものなんですけど、結局素材はまったく一緒なんですよね。ビートと声。映画のリズム感というのが必ずあって、音楽のリズム感があって、その両方がシンクロする、ずれるというその中で何か見えてくるものがあったらいいなと意図して作りました。メロディとかではなくて音色、フィルムでいえば色合いとか、テクスチャーだけで押せないかなっていうのは、作ってて思いましたね。だから、なるべくシンプルで単調なものがいいなと思って作りました。

司会 映画音楽に関しては、まだまだいろいろな可能性があるように思いますが、『闇打つ心臓』は、大友さんと長崎監督のそのひとつの成果だという気がしますね。

今回は、『闇打つ心臓Heart beating in the dark』の“音”を軸にした素敵な話が伺えました。ゆっくりとしたドラムと、登場人物たちの声、その重なりを全体的に音として感じるということ。初日舞台挨拶での水島かおりさんの「ライブ感覚で映画を体験してほしい」という言葉が甦りました。もう一度、『闇打つ心臓Heart beating in the dark』を見て、音という視点から作品を感じたいですね!!劇場窓口他にて、大友さんの音楽を全8曲収録したサントラCD付きのパンフレット(1300円)も限定販売しています。ぜひお家に帰ってからも『闇打つ心臓Heart beating in the dark』をお楽しみ下さい。
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# by yamiutsu | 2006-05-08 22:03 | 番外編