闇打つ心臓
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川崎欣也さん、国松達也さんインタビュー(2)

前回に引き続き、8ミリ版『闇打つ心臓』の撮影助手だった、川崎欣也氏と国松達也氏に話を聞いた。ほぼ全編を撮影したアパートは、上京したての国松氏の部屋だったとか…。


f0087322_18274287.jpg(電車遅延で遅れていた国松氏が到着)

−まず8mm版『闇打つ心臓』に関わる経緯をお伺いします。

国松達也(以降国松):川崎さん2年でしたよね?僕は1年生で、大学のシネ研に入ったばかりで右も左も分からない感じでしたね。あれは、5月か6月でしたっけ?いや、もっと後か?
川崎:夏でしたっけ?
国松:俺ね、結局東京に出て来て最初に借りたあのアパートに半年も住んでないような…。
川崎:(笑)

−(撮影は)国松さんの部屋なんですよね?

国松:あれで追い出されたから。一年も住んでない記憶がありますよ。
川崎:大家さんに文句言われたの?
国松:大家っていうか、不動産屋と周りの部屋の人に総スカンくらっちゃったから。だって隣の部屋のおじちゃんが包丁持って怒鳴り込んで来たから。当然悪いのはこっちなんだけど。3日ぐらい寝ずに24時間撮影をぶっ続けてみんな倒れる、ぶっ続けてみんな倒れる、それを4回ぐらいしたら終わったっていう感じ。
川崎:短かったですよね。
国松:文芸座がお金出してくれて、公開のスケジュール決まってたんですよね。それで急いだ。

−その大変だった現場というのはどうでした?現場の中で国松さんが一番若い立場だったと思いますが。

国松:夢中でしたからね、当時は。ただ当時の自分には、東京の大学に出て来て、はっきりと“映画”というビジョンはあったんです。大学の授業を決める前に、自分の学部の説明会に行く前に、映画サークル探して自然にシネ研に入ったりしてた人間なんで。だから、(『闇〜』の撮影の)までに長崎さんの映画も見てました。

−それは地元で御覧になったんですか?

国松:いやいや俺九州なんで、そういう上映会はなかったです。東京出て来てから見たんです。シネ研の情報として上映会があって。『ユキがロックを棄てた日』とか見てたと思いますよ。なんとなく当時の雰囲気は日芸グループと早稲田のシネ研グループと黒沢清さんの立教グループって感じだったんで、よく横の交流してたんですよね。その中で自然に先輩から長崎俊一さんが8mm映画をまた撮る、と聞いて。ATGの『九月の冗談クラブバンド』のことも噂に出てたんで、どうしてまた8mm撮るのかなと思いました。事故のことは後から知ったんですけれども。で、アパートが舞台のドラマで、ロケ場所を探している、と。本当に上京してきたばかりで荷物も少なかったので、なんか先輩と飲んでる時に、お前のアパートで、という話になった記憶がありますね。

−じゃあ、アパートありきで、というところがあったんですね。

国松:そうですね、僕の場合は。で、そのまま手伝ってくれってことで。

−そういう状況だと、ほとんどプライベートの時間というのはないですよね。

国松:でもまあ、短かったですよ。20日あるかないかでぐわっと撮ったんで。

−当時、出来上がった作品をご覧になった時はいかがでしたか?

国松:撮ってる時からすべて見ているわけですから。文芸座地下でしたよね?
川崎:地下だったっけ?上だったっけ?忘れちゃった。

f0087322_18283062.jpg−またやりたいな、というところも…。

国松:あー、あれ程の体力はないですね(笑)。川崎さんは撮影中に前のめりに倒れていたのを憶えてますが(笑)。
川崎:寝てたっていうより、気絶してた(笑)。
国松:なんか照明を持ったままそのまま倒れていって、動かなくなって。みんなしょうがないから、毛布かなんかを掛けて撮影していたっていう。
川崎:あ、そうだっけ?寝てたから憶えてないよ。風邪引いちゃってたから。
国松:途中途中で応援する人間も、一回応援に来てくれたらもう3日ぐらい帰さないから。ぶっ続けでやってるもんで。だからみんな二度と来ないんだけれども、僕らはずっとつき合ってました。みんな帰る体力もなくて、その場で寝てたって言うのもありましたね。その場で銭湯行って。
川崎:国松さん、ちゃんと見ました?出来上がったのを文芸座でやった時。
国松:見ましたよ、ちゃんと。
川崎:僕、寝てたんですよ。
国松:え、寝てたんですか?(笑)俺は見たし、その後の打ち上げに行ったのも憶えてますね。
川崎:打ち上げ行って酔っぱらって…。
国松:で、また寝たの?(笑)
川崎:いやいやいやいや。
国松:夜遅くまで矢崎(仁司)さんとかと飲んでたのを憶えてますよ。あと憶えているのは、内藤さんがNHKの名古屋か大阪のオーディションに行くんですよね。大きい役のオーディションで。最終(電車)で行って一日抜ける、っていう。それで戻ってくるのが俺の部屋、というのも何か変なんだけれども(笑)。戻ってくる前にNHKから電話が僕の部屋にかかってきて、事務所じゃないって(笑)。「やっていただくことに決まりました。本人にお伝え下さい」て、マネージャーじゃないって(笑)。

−今回の新しい『闇打つ心臓』を御覧になって、いかがでしたか?

国松:幸せな映画だな、と思いましたね。

−それはどういう意味でですか?

国松:25年ですか?23年?23年目に続編ができるなんて、こんな幸せな話ないじゃないですか。すごい面白かった。

−関わったことなどを思い出されましたか?

国松:いや、冷静に見られました。当時の映像が出てくると色々思い出しましたけどね。
川崎:部屋が出てくるんだもんね(笑)
国松:昔のリンゴォと伊奈子でしょ?現在のリンゴォと伊奈子でしょ?なんか昔の彼女のこと思い出したりして、て関係ないけど(笑)。

−長崎さんについてはどんな風に思いますか?

国松:後半出てくる海の撮影がすっごいきれいで、海岸を後ろから車が走ってくるのを夕景でよくおさえていて、いい条件でやってるなと思いました。リンゴォと伊奈子の澄んだ魂が海に永遠に溶けていくみたいな。ランボーみたいなこと言ってますけど(笑)。だいぶ前にこれをやるって話を本多(章一)さんのマネージャーから聞いてたんですよ。でもどういう風に作るんだろうって。

−気になる映画ではありましたか?

国松:そうですね。

−期待もありましたか?

国松:うーん。どうすんのかな、っていう心配というのはありましたけど…。でも見事にまとまってて。若い二人も頑張ってたじゃないですか。前半見てた時、こりゃ完全に負けちゃうな、って思ってたんですよ。同じ話を若い2人がやってるわけだから。説得力違いましたよね。そういうことしないと内藤さん室井さんに勝てないのかな、とも思いましたよ。


笑顔の彼らが思い出すことは、当時の若さや熱気そのもののようだ。インタビュー後、両氏は楽しそうに話しながら一緒に帰って行った。
次は、当時8ミリ版で助監督をした諏訪敦彦監督にインタビュー!

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by yamiutsu | 2006-03-18 18:33 | インタビュー