闇打つ心臓
yamiutsu.exblog.jp

伝説的な自主映画としての『闇打つ心臓』。23年経てつくられた『闇打つ心臓Heart,beating in the dark』。闇打つ心臓とは何なのか?関係者や監督たちに聞いて回る、リレーインタビュー。
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
カテゴリ:番外編( 4 )
長崎監督×大友良英ミニライブ&トークショー!
番外編第4弾は、長崎監督と、音楽を担当した大友良英さんをお招きしての、トーク&ミニライブ!大友さんの音楽に対する実験的な姿勢と、長崎監督の映画に対するこだわりが重なりあって、興味深い音楽作りのお話を聞くことができました。


f0087322_2158310.jpg司会:今日は、お越し頂きありがとうございます。では、監督と大友さんから一言ずつお願いします。
長崎:今日は本当に有難うございます。大友さんとは、初めて一緒にお仕事をさせてもらったんですけれども、映画に音楽をつけるということにとらわれない、刺激的でとても楽しい作業ができたんですね。出来上がった音楽をこれから聴いてもらいますが、とても素晴らしいものになっています。皆さん楽しんで行って下さい。
大友:今日はお越しいただき有難うございます。上映の前に、映画に入っている音楽をモチーフにした即興演奏を行います。今回、長崎監督との初めての仕事で、どういうことを考えているのかな、と手探りの状態で作業をしました。僕個人としてはすごく画期的な仕事ができたと思っています。

司会:監督は、『闇打つ心臓』の音楽を大友さんにどういうふうにお願いしたんですか?
長崎:えーっとですね。記憶がないんですよね(笑)。
大友:僕もあんまり覚えていないですよ(笑)。
長崎:少し話がずれてしまうかもしれないけど、オリジナルの8ミリ版の映像も、今回の本編の中に出てくるんですよ。オリジナル版を現在のものに入れるという編集で、非常に悩んでいた時期があったんです。その時期のものを大友さんに渡していて、どうかな、むずかしいだろうなという気持ちで大友さんにお会いしたら、大友さんはすごく興奮してくれて、オリジナルの映像と新しく作った映像とがカットバックしていくのをとても気に入って、面白がってくれたんです。オリジナル版の映像はもっと音を汚したほうがいいとか、色んなアドバイスをくれたんですね。その大友さんの意見が今回の出来上がりにはかなり影響を与えています。
大友:今思い出した!オフィス・シロウズで話した時ですよね。最初は、完成されていない段階のものをもらっていて、正直どうなるのかな、なんて思いながら見たんです。映画って、大体同じ時期に撮った映像を過去や現在、未来と見えるように編集していくじゃないですか。なのに、今回はテクスチャーが82年の8ミリフィルムと、現在のデジタルビデオとでバラバラで、それがすごく面白くて。確かその時に、昔の音をきれいにしたいっていう話も出て、それはやめたほうがいいって言ったんですよ。汚いままのほうがいいって。
長崎:いや、大友さんは「もっと汚したほうがいい」って言ってましたよ。
大友:ひどいねえ(笑)デジタルのほうは、デジタルのままのほうがいいって言ったんですよね。音楽では、アナログとデジタルを両方おいて、その差を見せるっていうのは案外普通にやっていることなんです。でも、映画じゃほとんどやっていなくてこれは面白いぞ、と。興奮したのはそこですね。

司会:ありがとうございます。それでは、いよいよ大友さんの即興演奏にうつりましょうか!

f0087322_2159367.jpg−おもむろにギターを抱え、大友さんの即興が始まりました。
皆さんにこの演奏をお届けすることはできませんが、ぜひ、『闇打つ心臓Heart beating in the dark』を見て、心臓に響く重いドラムとギターの音を感じてみてください!

司会:監督は、できあがった『闇打つ心臓』の音楽を聴いてどんな感想をもたれましたか?
長崎:僕は、僕の映画に音楽をつけるというのはすごく難しいと思っているんです。映画の中の音楽というと、普通“メロディ”で映画を思い出したりするじゃないですか。でも、大友さんとの作業では、少し違うあり方が見えてきたんですよね。音の塊というか、音が映画自体を動かしていたんですよ。あ、こういうことがあるんだったらいいなってすごく思えたんです。もうひとつ記憶に残っているのは、映画の中で、主人公たちが自分の過去を一人で喋るところがあって、大友さんにそこに音楽をつけてほしいとお願いしたんです。そこにはかなりスローなテンポのドラムと大友さんのギターが入ってるんですけど、大友さんは、これは一種のラップみたいなものだから、編集のリズムを考えて、音を足したり消したり自由にしていいよと言ってくれたんです。そうした時に、セリフを含めて、全部の音が音楽みたいに聞こえた瞬間があって、ちょっと得難い体験をしたんですよ。すごく刺激的でした。

司会:大友さんは、どういうふうに思いながら作られたんでしょうか。
大友:今回は、ドラムが通常じゃありえないほどのゆっくりした、bpmでいうと40というテンポで、要するに“隙間”が山のようにあるんです。ラップは、通常、今回の4倍くらいの早さのものなんですけど、結局素材はまったく一緒なんですよね。ビートと声。映画のリズム感というのが必ずあって、音楽のリズム感があって、その両方がシンクロする、ずれるというその中で何か見えてくるものがあったらいいなと意図して作りました。メロディとかではなくて音色、フィルムでいえば色合いとか、テクスチャーだけで押せないかなっていうのは、作ってて思いましたね。だから、なるべくシンプルで単調なものがいいなと思って作りました。

司会 映画音楽に関しては、まだまだいろいろな可能性があるように思いますが、『闇打つ心臓』は、大友さんと長崎監督のそのひとつの成果だという気がしますね。

今回は、『闇打つ心臓Heart beating in the dark』の“音”を軸にした素敵な話が伺えました。ゆっくりとしたドラムと、登場人物たちの声、その重なりを全体的に音として感じるということ。初日舞台挨拶での水島かおりさんの「ライブ感覚で映画を体験してほしい」という言葉が甦りました。もう一度、『闇打つ心臓Heart beating in the dark』を見て、音という視点から作品を感じたいですね!!劇場窓口他にて、大友さんの音楽を全8曲収録したサントラCD付きのパンフレット(1300円)も限定販売しています。ぜひお家に帰ってからも『闇打つ心臓Heart beating in the dark』をお楽しみ下さい。
[PR]
by yamiutsu | 2006-05-08 22:03 | 番外編
長崎監督×諏訪監督×矢崎監督トークショー!
番外編第3弾は、『闇打つ心臓』の長崎監督、そして長崎監督とは20年以上もの付き合いのある諏訪敦彦監督と矢崎仁司監督をお招きしてのトークイベントです!司会は、『闇打つ心臓Heart, beating in the dark』のプロデューサーの佐々木史朗さんです。
昔からお互いの作品作りに大きく影響し合ってきた監督たちの、興味深い出会いから、現場に対する意識など、映画に対する熱い思いが詰まったイベントになりました。



f0087322_17164028.jpg佐々木:夜遅い時間にたくさんの人に来ていただいてとても感謝しています。昔から知ってる3人なんで司会進行を受けたんですが、実は僕もこの映画に出ているんです(笑)。3人とも僕とは24〜5年前からの付き合いなんです。さっきみんなで話していたんだけど、長崎の映画は、タイトルの付け方がとてもかっこいい。『闇打つ心臓』というタイトルも普通なかなか思い付かないよね。諏訪はタイトルをつけた瞬間を知っているというけど、どんな感じだった?
諏訪:『闇打つ心臓』は、なんの前触れもなく「タイトルができた」と事務所に長崎さんが入って来て、「ちょっと恥ずかしいけど」と言いながら黒板に小さく「闇打つ心臓」と書いたんです。すごいタイトルだなあと思いましたね。インパクトのあるタイトルでした。名前が付けられる瞬間て何かが動く気がしますよ。

佐々木:急にイメージが動きはじめるというか、膨らみ始める瞬間だよね。矢崎は、長崎とはどういうきっかけで知り合ったの?
矢崎:大学が一緒だったんです。ちょうど日大の芸術学部に入って、授業で映画の歴史しか教えていなくて、つまらなくてとてもイライラしているときに内藤(剛志)たちに出会ったんです。それで、内藤がすごい監督がいるぞって長崎さんを紹介してくれたんです。

佐々木:諏訪は日芸じゃないのに、どうしてまた長崎と知り合ったの?
諏訪:僕は東京造形大学だったんだけど、当時はほとんど大学に行ってなくて、山本政志監督の助監督をしていました。山本さんは長崎さんのファンで、山本さんと飲んでるときに、「長崎がダビングやってるから手伝い行くぞ」と自転車かっぱらって横浜まで行ったりしましたね。そのあと、「足を引っ張るなよ」といって山本さんに送り出されたのが、長崎さんの『九月の冗談クラブバンド』の現場だったんです。

佐々木:長崎から見て、諏訪とか矢崎はどういうふうに見えてたの?
長崎:言いにくいんですが、かなりコキ使ってましたね(笑)。矢崎さんは『九月の冗談クラブバンド』の前まで、助監督とかをやってもらってたんです。それ以降何本か撮った映画には、諏訪が付き合ってくれたという関係です。やっぱり助監督っていうのは技術的なことを要求されるけど、この2人はそういう要素もありつつ、むしろ映画をどうするかということを一生懸命考えていたという印象がありますね。

佐々木:僕自身も30年近く映画を作っているけど、最近助監督についてやや不満な点があるとすればそれなんだよね。つまり、職能として動くことはみんなうまくなっているんだけど、映画の中身について意見を言ったり、場合によっては、反論したりということがない気がする。矢崎から見て今の助監督はどう思う?
矢崎:制作部みたいな感じがしますね。昔は演出部と制作部が喧嘩をしたりするようなことがあったと聞きますけど、今は、仕事を“消化する”という感じ。ものを生み出すエネルギーがほとんど消耗していますよね。

佐々木:諏訪はどう?一番最近はフランスで撮ってるけど。
諏訪:スタッフはとてもよかったですよ。現場にゴダールについていた撮影監督のキャロリーヌ・シャンプチエさんがいたんです。彼女が、「ゴダールは、スタッフがディスカッションすることによって映画に命が吹き込まれるんだと言っていた」と教えてくれました。日本の助監督は、監督が意見を聞くと、「それは監督のものですから」というふうに謙遜することが時々ありますが、それは日本でしか通用しないですよ。ものを作る態度ではなくなってますよね。そういう人ばっかりじゃないし、僕はいいスタッフと組んできたと思うんですが。『九月の冗談クラブバンド』では、僕は一番下っ端の助監督でカチンコ打って、何もできないのに一生懸命やってたんですけど、でも、監督に意見を言ったりして生意気な奴でした(笑)。

f0087322_17161016.jpg佐々木:長崎は、自主映画や初めての35ミリ作品の『九月の冗談クラブバンド』で、助監督だけではなくて、スタッフの意見とかはどういう風に聞いていたの?
長崎:最近は考え方がだんだん変わってきたとは思うんです。一方で、今諏訪が言ったように、スタッフの意見をすごく自分なりに大事に思ってもいるんです。と同時に、内容だけじゃなくてスケジュールや予算の意見のこともすごく大事にしますね。逆に言うと、予算とかスケジュールが内容に関わっているとも思うんです。自分がもしスケジュールに関して「こうしてほしい」と言えたら、その瞬間にそれも演出じゃないかなと、そう思えうようになってきましたね。
諏訪:8ミリ版の『闇打つ心臓』のときは、すごくディスカッションをする空間だったと思うんです。スタッフやキャストの人たちがよく話し合ってましたね。

佐々木:8ミリ版の『闇打つ心臓』は、長崎がひとつのイメージを持っていて、それを作ろうとみんなに伝えながら作ったというよりも、作品に参加しているすべてのスタッフ、キャストも含めてある集団があの映画を作っていたっていう感じがするよね。ぼくはその集団からくる風圧に圧倒されて、それが面白くて、いつかあの映画で何か出来ないかなって考えていて、今回この作品を作ったんですよね。
長崎:映画ってのは、監督がフューチャーされがちだけど、少なくとも自分は、現場も面白いし、現場はしんどいことがほとんどなんだけど、ディスカッションの場をもてないとつまらないし、映画も面白くならないと思っています。

佐々木:一本のシナリオでも、100人いれば100通りの読み方がある。こちらのイメージしていたものと、実際の現場の演出やカメラワークや役者の動きなんかが、ずれていく。でも、どんどんそのずれが膨らんだりして、瞬間的に怖いところもあるんだけど、同時にそれがすごく面白くなってくる。そんな経験を一度してしまうと映画を作ることから抜けきれないんだよね。矢崎は、そういう映画の持つ集団性については苛立ったりする?
矢崎:ほとんどスタッフは邪魔してるとしか思えないですね(笑)。でも、結局、自分は、会話の中から何か生まれるということを信じています。邪魔してるということを認識して邪魔するのが大事なんですよ。『風たちの午後』のときに現場に長崎さんが来て、「矢崎さん、シナリオ通りに撮ってるだろ。シナリオを壊さなきゃだめだよ」って言ったんですよ。それをいつも肝に銘じてます。
諏訪:昨年『un couple parfait』という映画を撮りました。僕は相変わらず、撮影では脚本を作らなかったんです。でも、そうすると、みんな自分で色々考えてくるんですよ。それが面白くて、その状態を長く持続させたいので、脚本を書かないでいます。何が起きるか分からないし、それぞれが考えて来るから創造力が出てくるんですよね。そういう意味ではそのやり方でスタッフの創造力を引き出していけたと思います。
長崎:映画とはいろんな作り方があって、皆それぞれが自分の中に、こういうのが映画だっていうものを持っているかもしれない。けど、そういうものからずれることも映画なんじゃないかと思うし、そんなことを気になってくれたら嬉しいし、作った甲斐があったなと思います。

映画作りの裏側や監督の個人的な意見まで、色々聞くことができ、短い時間でしたが、とても充実したイベントでした。本日ゲストで来て頂いた諏訪敦彦監督の最新作は『Un couple parfait』、そして、矢崎仁司監督の最新作は『ストロベリーショートケイクス』。こちらも楽しみですね!
次回、番外編第4弾は、音楽を担当した大友良英さんをお招きしての、監督とのトーク&大友さんのミニライブが行われたイベントの様子をアップします。乞う御期待!!

[PR]
by yamiutsu | 2006-05-02 17:21 | 番外編
『闇打つ心臓Heart,beating in the dark』初日舞台挨拶!
とうとうこの日がやって来た!
23年を経て新たに生まれ変わった『闇打つ心臓Heart,beating in the dark』の初日。
「お客さんが一人もいなかったらどうしよう…」
スタッフ誰もがどきどきしながら劇場に向かったのですが、着いたとたん杞憂に終わりました。先週のオールナイトに続き、劇場には公開を待ちわびていたお客さんたちが沢山!思わず涙、涙、涙。
「この映画をこんなにも待ちわびてくれた人がいたんだ!」
それはきっとキャストも同じだったのでは?
というわけで、番外編第2弾は、初日を記念しての監督、キャストによる舞台挨拶のレポートを掲載!当日来られなかった方々もこのブログを読んで気分に浸っていただけると嬉しいです。



f0087322_14223998.jpg長崎監督:今日は見に来て下さって本当にありがとうございます。もしかすると想像とちょっと違う映画かもしれませんが、何かを感じてもらえれば嬉しいです。
内藤:当たり前のことですが、映画は皆さんに見ていただいてやっと完成するんだなと感じます。皆さんにとって、この映画が何かの始まりだったり、何かのきっかけになったら本当に嬉しいです。皆さんそれぞれの『闇打つ心臓』を持って、それを育てていただけたらと思います。
室井:23年前の自分と現在の自分が出演するという…ホラーではないですが(笑)怖いような恥ずかしいようなそんな深い気持ちです。とても夜に合った映画なので、この作品を2年でも3年でもやっていただけたらと思います。今日見た率直な感想を、帰ってから10人位ずつ広めていただくと、3年くらい続きますね(笑)。
江口:今思えば必要以上にすごい悩んでしまったのですが、共演者やスタッフの方々にアドバイスをいただいて助けられました。
本多:本多です。残っていく作品だと思うので、まわりの人に伝えてください。透という役にこれという軸がなくて…、いつも章一と透の狭間で……。よろしくお願いします。

司会:監督、本多さんがあんなこと言ってますが殴っておいてください(笑)内藤さんは学生時代から長崎監督の作品に出演されて、時にはプロデューサーもされていますが、内藤さんにとって監督はどういう存在ですか?

内藤:長崎とは、19歳からもう30年以上も一緒にやってきています。長崎にはいつも嫌がられますが、僕は映画が終わってすぐ次の映画は何?と聞くんです。長崎映画が見たいというのが僕の中で大きなモチベーションなので、次の映画を早く撮って欲しいということにおいては、僕は長崎のファンですね。
室井:当時の長崎さんは自主映画界のスターで、私も自主映画に出演していたんですが、もっと格好いい映画に出たいなと思っていまして。81年が私のデビューですが、本当のデビューはこの作品かなと思ったりします(こんなこと言っちゃまずいんですが、笑)。初めて男女の複雑な心を表現したという、ちょっと照れくさい映画です。

f0087322_14232033.jpg司会:若い二人の長崎監督の印象は?

江口:偶然16歳の頃に地元で、『闇打つ心臓』の上映とトークを見たんです。なので長崎監督と一緒にお仕事ができるのはすごく嬉しかったです。でも、監督は私にとって一番恐い存在です。何もしゃべっていなくても、私が何を考えているのかバレてるような気がして。
本多:僕も恐いです。見抜かれてるようで。

司会:では、これからそんな作品を皆さんに見ていただければと思いますが、え?あ!皆さんちょっとお待ち下さい。たった今連絡が入りまして、特別ゲストがもう二人いらっしゃったそうです!『闇打つ心臓』8ミリ版にも御出演の諏訪太朗さん、そして、水島かおりさんです。

諏訪:今日は本当にありがとうございます。感慨無量です。
水島:どうも皆さん私のために集まってくれてありがとうございます(笑)。子殺しという題材ですが、映画を見るというよりライブを聴くような感じで見ていただけたらなと思います。

司会:諏訪さんの長崎監督に対する思い入れは?

諏訪:思い入れも何も僕の青春です。当時、映画にできるだけ近付きたいと思ってやっていて、どうしていいか分からない時に内藤から長崎を紹介され、いつしか長崎の作品には必ず内藤と僕が出るというのを、暗黙の了解でやってきました。長崎の存在があるからこそ今の俺があると感じてます。


なんと、オールキャストが舞台挨拶に登壇!というとても豪華な舞台挨拶。
短い時間でしたが、監督、出演者『闇打つ心臓Heart,beating in the dark』への熱い思いがひしひしと感じられました。

番外編第3弾は長崎俊一監督×諏訪敦彦監督×矢崎仁司監督によるトークショーの様子をお届けします。同世代の監督たちの本音を佐々木史朗プロデューサーが余すことなく引き出します!

[PR]
by yamiutsu | 2006-04-20 14:27 | 番外編
公開記念オールナイトトークショー!
長崎監督から始まったリレーインタビュー。先日佐々木史朗プロデューサーで無事終了しましたが、皆さんお楽しみいただけましたか?80年代に彼らが思っていたくすぶる衝動を少しでも分かっていただけると嬉しく思います。
ここからは番外編。4/1(土)に渋谷シネ・アミュースにて開催された『闇打つ心臓Heart,beating in the dark』公開記念−オールナイト前夜祭「すべてはここから始まった」−。
当日、会場は奇跡と呼ばれている80年代の自主映画をどうしても見たい!というお客さんが多数来場。オールナイトに関わらず、立ち見が出る程の大盛況でした。
当日は長崎監督の他、室井滋さん、山川直人監督が来場し、トークショーが行われました。あの頃、彼らは何を考え、映画という衝動に駆られたのか……。


f0087322_14344865.jpg

司会:長崎監督、『闇打つ心臓』(8ミリ版)は、どんな経緯で撮られたんですか?

長崎:山川君の『アナザ−サイド』という映画もそうなんですが、当時、文芸座(現・新文芸座)という映画館がお金を出して、16ミリとか8ミリの映画を作る、ということをやっていたんです。で、僕がはじめて劇場用映画を撮ったのを機に、オールナイトで僕の作品を何本か上映すると言われて。その時の鈴木昭栄さんという支配人さんに、一本撮らせてくれないか、と言いました。

司会:『九月の冗談クラブバンド』という映画で35ミリの監督としてデビューされましたが、どういう気持ちでしたか?

長崎:その作品の撮影中に事故があったりして、自分が思っていたことと、出来上がった映画のあいだに、距離が出来てしまってました。だからもう一回、自分で映画を作る、というのはどういうことか考えたいな、と思っていたんです。それで御覧なっていただいたように、ひとつの部屋の中に二人しか俳優が出て来ない、生活道具もいっさい無いという設定で出来ないかなと。

司会:室井さんは当時自主映画と呼ばれるたくさんの作品に出演されてますが、どういう経緯で出られるようになったんですか?

室井:早稲田に行ってたんですが、大学入ってすぐ演劇部みたいなところでお芝居をはじめまして。よく肉体訓練で、スロープみたいなところをゆっくり歩く練習とかいろいろやってるのを、山川さんが見かけて、自分の映画に出てくれないかと。
山川:それじゃまるで道でたまたま見つけたみたいじゃない。いや、舞台を見てからだよ。
室井:あ、そうなんだ。
山川:え、今知ったの?(笑)
室井:そんな感じで最初に山川さんの作品に出たんです。私その頃わりと、自分で自分がけっこうイケてるんじゃないかと思ってたんですよ。でも、作品見たら、もうめちゃくちゃドブスで(笑)。山川さんって撮るのきっとヘタクソなんだ、と思いました。だから、今回失敗だったね、って山川さんに言ったんですよ、最初に出た映画のときに。そしたら、うんって言ったんですよ(笑)。でもまた次のも出てくれって言われたんで、じゃ、今度はいいかなと思って出たら、やっぱりすごいひどい顔だったんですよ。だから、山川さんのじゃなくて他の人のに出てみよう、と思って次々に出ました。でもこれも間違いこれも間違いって、100本くらい出るようになって。そのうち、自分の顔がそういう顔だって認識できるようになりましたけど。その中で、長崎さんていうのは私たちよりも、ちょっとステージが違うというか、自主映画界のスターだったんです。出てくる女の人がまたカッコいいんですよ。ピンヒール履いて。だから出ないかって言ってもらえたとき、私もあういうハイヒールが履けるんだって思ってたら、線路に足突っ込んで抜けなくなる冒頭のアレだったんですけど。

f0087322_14353074.jpg司会:じゃあ話が出たので、山川さんに話をお聞きしたいのですが、なぜ室井さんを?

山川:舞台を見て。その舞台の内容はまったくワケが分からなかったんですけど、すごく、真剣にやってたんですね。それが謎だったんです。

司会:謎?

山川:なんでこんなワケの分からないことに、こんな真剣になれるのかと。その謎を究明したくて、出てくださいと、お願いに行きました。

司会:それでで出てもらったのはどの作品になるんですか?

山川:『ビハインド』です。

司会:室井さんから今回は失敗だったんだよね、といわれ、うん、と言ったそうですが。

山川:全然僕おぼえてないです。でもイケてましたよね、最初から。シナリオ書いて、撮る前にある程度自分の出来上がりの映画をイメージするじゃないですか。でも、イメージしたものよりも、必ず面白くしてくれた。

司会:やっぱりこの当時から室井滋という女優さんは山川監督にとって魅力的なヒロインですか?

山川:そうですね。もう全部出てもらってたんで。僕としては必要不可欠な人材でしたね。

司会:長崎監督は、内藤(剛志)さんとずっと一緒に映画を作っていたんですか?

長崎:ええ、内藤はもともと大学で一緒だったんで。だから山川君と室井の関係みたいに、自分が撮る映画にはほぼ内藤が出てるって形ですね。室井とは、僕もどこでどう知り合ったか全然記憶にないですけど、ただ山川君の映画で『自己と他者』というのがあって、それに出てる室井滋が非常に印象的で、その記憶がずっとありました。だから決して、室井が今言ったみたいにダメじゃなくて、やっぱりなかなか魅力があったんですよ。だからたぶん『闇打つ心臓』のときに頼んだんだろうなと。

f0087322_1436236.jpg司会:室井さん、長崎組というのは、他の現場と比べてどんな印象を受けました?

室井:そんなに年が離れているわけじゃないですけど、ものすごく大人に見えてました。自主映画の中では、自分たちの仲間で撮るというものとはちょっと違う感じがあって。長崎さんたちの組の人って、お酒の飲み方とかも全然違うんですよ。なんか、手首切ったのをくっ付けて、仲間の誓い、みたいなこともやってて(笑)。

司会:ええ?!長崎さんそんなことしてたんですか?!

長崎:いや、だから全然大人じゃないんですよ(笑)。あとは、今いないから言いますけど、内藤がそういう意味では非常に、今で言うプロデューサー的な感じもあったんですよ。学生が撮ってるんだけど、それだけじゃ嫌だという。そういう思いというか行動力というか。内藤のそういう感じが、現場の雰囲気に大きく影響してたように思いますけどね。

司会:『闇打つ心臓』のタイトルバックを、山川さんが作っているとか。

長崎:そうです。山川さんはやっぱりデザインがうまい。それでお願いしました。僕らが映画撮っているときは、そのときに好きだった映画を真似しようとしてたんですよ。こうやるとカッコいい映画になるなとか。でも出来なかったんですよ。失敗する。それで、あ、じゃあこれが自分たちなんだから、むしろ失敗を押していこう、そういう発想があったんですよ、内藤なんかとやってたとき。ただ山川君の映画を見たときに、最初から完成度が高かった。すごい完成度で、しかもおしゃれなんだよね。すごく洗練されているっていうか。僕らは真似っ子で失敗して、そこを行くっていう映画だったけど、山川君のは最初から独自な感じがきちんとあって、それですごく驚いた記憶があります。

司会:最後に35ミリ版の『闇打つ心臓』の話をして終わりたいと思うんですが、室井さん、23年後の伊奈子は演じられていかがでしたか?

室井:『闇打つ心臓』をもう一度撮るっていう話をいただいたときは、すごい嬉しくって。8ミリ版は自分の中に断片的にいつも心の中に残っていて。例えばそれは、どこか知らない町の銭湯に行ったときとか、知らない場所に行ってフラっとしているときに、しょっちゅう思い出したりすることが、この二十何年間にあって。完成した台本と撮影して出来たものは、またちょっと違ってたので、何回もびっくりしたというか。ただ、奇跡って言うほどじゃないのかもしれないですけど、やっぱり映画の構造が何重にもなってたりとかして、時間が映画の中で動いていくという、ものすごい体験ができるので。かなりすごいなと思いますね。
司会:監督、公開を目前に控えているわけですけども、『闇打つ心臓』を35ミリで撮られた感想をお聞きしたいと思います。

長崎:たとえばその人の年齢とか、もちろん性別もあるだろうし、やっぱり見る人によって、だいぶ印象が違うようです。作っているときはそれは思わなかったんですけど。映画というのはこういうもんだって、誰しも思ってるかもしれませんが、そこからちょっとはずれてもいいやって思ってらっしゃる方は、見てもらったらいいかなと(笑)。

司会:じゃあ、山川さん。

山川:これが映画だ、ていう映画ですね。出てる人がみんな立派に見えるんですよ、何やってても。あ、こういうふうに考えたいなあとか、こういうふうに行動したいなあとか。長崎さんが作ったひとつの、フィクション、ノンフィクション、ドキュメンタリー的な部分も含めて、ひとつの映画世界の中にのめり込んでしまう。のめり込ませてくれるのが映画だと僕は思うので。だから僕にとって真の映画体験をさせてくれる映画を久しぶりに見た、という感じです。

監督、俳優の顔から“仲間”の顔へ…。フィルムから溢れ出す輝きは、20年という時を超えて、今でも彼らの中に息づいていた。

番外編第2弾は初日舞台挨拶レポート!近日アップ!!
[PR]
by yamiutsu | 2006-04-14 14:37 | 番外編