闇打つ心臓
yamiutsu.exblog.jp

伝説的な自主映画としての『闇打つ心臓』。23年経てつくられた『闇打つ心臓Heart,beating in the dark』。闇打つ心臓とは何なのか?関係者や監督たちに聞いて回る、リレーインタビュー。
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
公開記念オールナイトトークショー!
長崎監督から始まったリレーインタビュー。先日佐々木史朗プロデューサーで無事終了しましたが、皆さんお楽しみいただけましたか?80年代に彼らが思っていたくすぶる衝動を少しでも分かっていただけると嬉しく思います。
ここからは番外編。4/1(土)に渋谷シネ・アミュースにて開催された『闇打つ心臓Heart,beating in the dark』公開記念−オールナイト前夜祭「すべてはここから始まった」−。
当日、会場は奇跡と呼ばれている80年代の自主映画をどうしても見たい!というお客さんが多数来場。オールナイトに関わらず、立ち見が出る程の大盛況でした。
当日は長崎監督の他、室井滋さん、山川直人監督が来場し、トークショーが行われました。あの頃、彼らは何を考え、映画という衝動に駆られたのか……。


f0087322_14344865.jpg

司会:長崎監督、『闇打つ心臓』(8ミリ版)は、どんな経緯で撮られたんですか?

長崎:山川君の『アナザ−サイド』という映画もそうなんですが、当時、文芸座(現・新文芸座)という映画館がお金を出して、16ミリとか8ミリの映画を作る、ということをやっていたんです。で、僕がはじめて劇場用映画を撮ったのを機に、オールナイトで僕の作品を何本か上映すると言われて。その時の鈴木昭栄さんという支配人さんに、一本撮らせてくれないか、と言いました。

司会:『九月の冗談クラブバンド』という映画で35ミリの監督としてデビューされましたが、どういう気持ちでしたか?

長崎:その作品の撮影中に事故があったりして、自分が思っていたことと、出来上がった映画のあいだに、距離が出来てしまってました。だからもう一回、自分で映画を作る、というのはどういうことか考えたいな、と思っていたんです。それで御覧なっていただいたように、ひとつの部屋の中に二人しか俳優が出て来ない、生活道具もいっさい無いという設定で出来ないかなと。

司会:室井さんは当時自主映画と呼ばれるたくさんの作品に出演されてますが、どういう経緯で出られるようになったんですか?

室井:早稲田に行ってたんですが、大学入ってすぐ演劇部みたいなところでお芝居をはじめまして。よく肉体訓練で、スロープみたいなところをゆっくり歩く練習とかいろいろやってるのを、山川さんが見かけて、自分の映画に出てくれないかと。
山川:それじゃまるで道でたまたま見つけたみたいじゃない。いや、舞台を見てからだよ。
室井:あ、そうなんだ。
山川:え、今知ったの?(笑)
室井:そんな感じで最初に山川さんの作品に出たんです。私その頃わりと、自分で自分がけっこうイケてるんじゃないかと思ってたんですよ。でも、作品見たら、もうめちゃくちゃドブスで(笑)。山川さんって撮るのきっとヘタクソなんだ、と思いました。だから、今回失敗だったね、って山川さんに言ったんですよ、最初に出た映画のときに。そしたら、うんって言ったんですよ(笑)。でもまた次のも出てくれって言われたんで、じゃ、今度はいいかなと思って出たら、やっぱりすごいひどい顔だったんですよ。だから、山川さんのじゃなくて他の人のに出てみよう、と思って次々に出ました。でもこれも間違いこれも間違いって、100本くらい出るようになって。そのうち、自分の顔がそういう顔だって認識できるようになりましたけど。その中で、長崎さんていうのは私たちよりも、ちょっとステージが違うというか、自主映画界のスターだったんです。出てくる女の人がまたカッコいいんですよ。ピンヒール履いて。だから出ないかって言ってもらえたとき、私もあういうハイヒールが履けるんだって思ってたら、線路に足突っ込んで抜けなくなる冒頭のアレだったんですけど。

f0087322_14353074.jpg司会:じゃあ話が出たので、山川さんに話をお聞きしたいのですが、なぜ室井さんを?

山川:舞台を見て。その舞台の内容はまったくワケが分からなかったんですけど、すごく、真剣にやってたんですね。それが謎だったんです。

司会:謎?

山川:なんでこんなワケの分からないことに、こんな真剣になれるのかと。その謎を究明したくて、出てくださいと、お願いに行きました。

司会:それでで出てもらったのはどの作品になるんですか?

山川:『ビハインド』です。

司会:室井さんから今回は失敗だったんだよね、といわれ、うん、と言ったそうですが。

山川:全然僕おぼえてないです。でもイケてましたよね、最初から。シナリオ書いて、撮る前にある程度自分の出来上がりの映画をイメージするじゃないですか。でも、イメージしたものよりも、必ず面白くしてくれた。

司会:やっぱりこの当時から室井滋という女優さんは山川監督にとって魅力的なヒロインですか?

山川:そうですね。もう全部出てもらってたんで。僕としては必要不可欠な人材でしたね。

司会:長崎監督は、内藤(剛志)さんとずっと一緒に映画を作っていたんですか?

長崎:ええ、内藤はもともと大学で一緒だったんで。だから山川君と室井の関係みたいに、自分が撮る映画にはほぼ内藤が出てるって形ですね。室井とは、僕もどこでどう知り合ったか全然記憶にないですけど、ただ山川君の映画で『自己と他者』というのがあって、それに出てる室井滋が非常に印象的で、その記憶がずっとありました。だから決して、室井が今言ったみたいにダメじゃなくて、やっぱりなかなか魅力があったんですよ。だからたぶん『闇打つ心臓』のときに頼んだんだろうなと。

f0087322_1436236.jpg司会:室井さん、長崎組というのは、他の現場と比べてどんな印象を受けました?

室井:そんなに年が離れているわけじゃないですけど、ものすごく大人に見えてました。自主映画の中では、自分たちの仲間で撮るというものとはちょっと違う感じがあって。長崎さんたちの組の人って、お酒の飲み方とかも全然違うんですよ。なんか、手首切ったのをくっ付けて、仲間の誓い、みたいなこともやってて(笑)。

司会:ええ?!長崎さんそんなことしてたんですか?!

長崎:いや、だから全然大人じゃないんですよ(笑)。あとは、今いないから言いますけど、内藤がそういう意味では非常に、今で言うプロデューサー的な感じもあったんですよ。学生が撮ってるんだけど、それだけじゃ嫌だという。そういう思いというか行動力というか。内藤のそういう感じが、現場の雰囲気に大きく影響してたように思いますけどね。

司会:『闇打つ心臓』のタイトルバックを、山川さんが作っているとか。

長崎:そうです。山川さんはやっぱりデザインがうまい。それでお願いしました。僕らが映画撮っているときは、そのときに好きだった映画を真似しようとしてたんですよ。こうやるとカッコいい映画になるなとか。でも出来なかったんですよ。失敗する。それで、あ、じゃあこれが自分たちなんだから、むしろ失敗を押していこう、そういう発想があったんですよ、内藤なんかとやってたとき。ただ山川君の映画を見たときに、最初から完成度が高かった。すごい完成度で、しかもおしゃれなんだよね。すごく洗練されているっていうか。僕らは真似っ子で失敗して、そこを行くっていう映画だったけど、山川君のは最初から独自な感じがきちんとあって、それですごく驚いた記憶があります。

司会:最後に35ミリ版の『闇打つ心臓』の話をして終わりたいと思うんですが、室井さん、23年後の伊奈子は演じられていかがでしたか?

室井:『闇打つ心臓』をもう一度撮るっていう話をいただいたときは、すごい嬉しくって。8ミリ版は自分の中に断片的にいつも心の中に残っていて。例えばそれは、どこか知らない町の銭湯に行ったときとか、知らない場所に行ってフラっとしているときに、しょっちゅう思い出したりすることが、この二十何年間にあって。完成した台本と撮影して出来たものは、またちょっと違ってたので、何回もびっくりしたというか。ただ、奇跡って言うほどじゃないのかもしれないですけど、やっぱり映画の構造が何重にもなってたりとかして、時間が映画の中で動いていくという、ものすごい体験ができるので。かなりすごいなと思いますね。
司会:監督、公開を目前に控えているわけですけども、『闇打つ心臓』を35ミリで撮られた感想をお聞きしたいと思います。

長崎:たとえばその人の年齢とか、もちろん性別もあるだろうし、やっぱり見る人によって、だいぶ印象が違うようです。作っているときはそれは思わなかったんですけど。映画というのはこういうもんだって、誰しも思ってるかもしれませんが、そこからちょっとはずれてもいいやって思ってらっしゃる方は、見てもらったらいいかなと(笑)。

司会:じゃあ、山川さん。

山川:これが映画だ、ていう映画ですね。出てる人がみんな立派に見えるんですよ、何やってても。あ、こういうふうに考えたいなあとか、こういうふうに行動したいなあとか。長崎さんが作ったひとつの、フィクション、ノンフィクション、ドキュメンタリー的な部分も含めて、ひとつの映画世界の中にのめり込んでしまう。のめり込ませてくれるのが映画だと僕は思うので。だから僕にとって真の映画体験をさせてくれる映画を久しぶりに見た、という感じです。

監督、俳優の顔から“仲間”の顔へ…。フィルムから溢れ出す輝きは、20年という時を超えて、今でも彼らの中に息づいていた。

番外編第2弾は初日舞台挨拶レポート!近日アップ!!
[PR]
# by yamiutsu | 2006-04-14 14:37 | 番外編